はじめに
2017年12月1日の配信で、VTuberの草分け的存在であるキズナアイが思わぬ「読み間違い」を犯し、それが大きな話題となりました。そして、この配信でのハプニングがVTuberブームの火付け役の一つになりました。本記事では、この「野獣先輩誤読事件」の概要とエピソードを丁寧に解説します。
配信の概要(いつ、誰が、何をしたか)
いつ・誰が: 2017年12月1日、当時人気上昇中だったバーチャルYouTuberのキズナアイ(VTuberの始祖。ファンから「親分」とも呼ばれます)が配信を行いました。
何が起きたか: 配信中、キズナアイは視聴者のコメントか名前を読み上げていました。その際、ある視聴者のハンドルネーム「怪獣先輩」を誤って「野獣先輩」と読んでしまったのです。本人はすぐに「あっ…怪獣先輩」と読み直しましたが、時すでに遅し。配信上で「野獣先輩」という単語が発せられる放送事故的瞬間が生まれてしまいました。
「野獣先輩」とは?: 実は「野獣先輩」とはネットミームとして非常に有名な「真夏の夜の淫夢」の中心的な人物であり、ニコニコ動画などでミーム化していました。当時清楚系(?)のVTuberだったキズナアイが口にするのは場違いな単語でした。彼女自身はもちろん意図せず読み間違えただけですが、視聴者にとっては「まさかキズナアイがあの野獣先輩の名前を!?」という衝撃の瞬間だったのです。
ハイライトシーン
誤読の瞬間: 配信中盤、キズナアイがコメント読みをしている最中に事件は起こります。該当の名前を目にした彼女は元気よく「野獣せ…」と言いかけ、途中でハッとして「…怪獣先輩」と言い直しました。一瞬何事もなかったかのように振る舞いましたが、はっきり「野獣先輩」と発音してしまったのは明白でした。
ファンの反応・後日談
即座の反応: 配信直後から、ファンはこのハプニングに沸き立ちました。問題のシーンを切り抜いた動画がニコニコ動画に投稿され、「キズナアイ、野獣先輩の読み間違いでやらかす」といったタイトルで共有されます。ニコニコ動画は当時淫夢ネタの聖地でもあったため、この動画は瞬く間に再生数を伸ばし、なんとランキングの上位(1位付近)に数日間も掲載される事態となりました。結果としてこの誤読シーンは広く拡散され、「キズナアイ」という名前が初めて一般ネットユーザーの目に触れるきっかけになったのです。事実、「あの野獣先輩事件の動画で初めてVTuberを知った」という人も当時続出しました。
ブームへの波及: この出来事はVTuberブームの火付け役の一つとなりました。実際、後にファンの一部は「2017年冬頃からVTuberを見始めたが、そのきっかけがキズナアイの野獣先輩誤読だった」と証言しています。
2021年の振り返り配信: その後もこの話題は伝説として語り継がれ、約4年後の2021年8月24日に行われたコラボ配信でも取り上げられました。この配信はVTuberの犬山たまきのチャンネルで行われたコラボ企画で、キズナアイの他、イラストレーターVTuberのしぐれうい、にじさんじ所属の葉加瀬冬雪らが参加していました。その中で犬山たまきが「アイさんって、一番最初に日本でバズった時って、何でバズったか覚えていらっしゃいます?」と勇気ある質問を投げかけます。その時の様子は以下の動画から見ることができます。
他VTuberや派生ネタへの影響: 「野獣先輩」はその後もVTuber文化の端々に影響を与えています。ホロライブを含むVTuber界隈では淫夢由来のネタ(淫夢語録)をこっそり使う文化があり、たとえばホロライブ所属の宝鐘マリン船長は初期に淫夢ネタを多用していたことで知られます(現在は封印している模様)。キズナアイの野獣先輩誤読事件は、そうしたニコニコ発のネットミームとVTuber文化が交差した象徴的瞬間でした。ホロライブを中心にVTuberを見始めた初心者の方でも、この事件を知ることで日本のVTuber文化のルーツやノリをより深く理解できるでしょう。
(宝鐘マリンの語録の封印宣言)
(宝鐘マリンの語録封印前の様子)
コメント